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最高裁判所第三小法廷 昭和49年(オ)1131号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人近藤与一、同近藤博、同近藤誠の上告理由について。

競売法による不動産競売手続において、競売裁判所は、仮登記のある抵当権者に対してはその仮登記の本登記をすれば第三者に対抗することができる抵当権の順位及び内容にしたがつて競売代金を配当すべく、その配当額については民訴法六三〇条三項を類推してこれを供託し、後日その仮登記の本登記をするに必要な条件を具備するに至つたとき、これを仮登記権利者に交付すべきものと解するのが、相当である。したがつて、被上告人が本件抵当権につき仮登記の本登記をするに必要な案件を未だ具備していないとしても、右事実は本件配当表の被上告人に対する配当額を取り消すべき理由にはあたらないとした原審の判断は、正当であり、また、原審の適法に確定した事実関係のもとにおいて、被上告人が本件抵当権を放棄したとは認められないとした原審の認定判断も、是認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 関根小郷 裁判官 天野武一 裁判官 坂本吉勝 裁判官 江里口清雄 裁判官 高辻正己)

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